1996〜2002

私は、1996年から日本画を学びました。 ここには沢山の友と共に2002年まで制作した作品の一部を掲載しています。


うず

東京藝術大学 終了制作 しょんべん横丁 帝京大学 日本画 買い上げ
2002年 2273×1818

 

罵声が聞こえる。

笑い声が聞こえる。

混沌としていて

臭い。

 

これから飛び込む世の中の

酸いも甘いも混ぜこぜの煮込みを流し込んで

体を温めるんだ。

 

良く温まったら

目が回らないようにだけ気をつけて

飛び込もう。

 

 

 

 

 

するめ

2002年 7000×2500mm
2002年 7000×2500mm

 

校舎の吹き抜けから
一階に広げた300枚のパネルを眺める。
何が出来上がるかはお楽しみ。
四人の合作は六メートルを超えた。

自由に組み替えられ、
作品の1ピースとなったそれぞれの小作品。
風景から人物まで、
粉々になって色に変わる。

噛めば噛むほど
うま味が広がるもの。
見れば見るほど
想像が広がるもの。

するめ

 

 

 


あめもよう・でんでんむし

2000年 2273×1818mm
2000年 2273×1818mm

 

雨模様電電虫。

雨で霞んだ電気街に群がった人々が、青になるのを待っています。

ネオンやお店の明りが綺麗に霞む中、ゆっくりと増えてゆく。

どこからともなく現れるその人間が

なにか違った生き物の様で

雨音と歪んだ光の中

不思議な感覚に包まれたのを覚えています。


時代の最先端をゆくこの街にも雨は降ります。

上空に歪んで光るネオンが綺麗だから

電電虫はここへ集まるのではないでしょうか。

私もその一人です。

 

 

 

 

R16

2000年 2273×1818mm
2000年 2273×1818mm

国道を走る乗り物は全て

路地裏で見るものとは

まるで違う。

 

凶器に見えてしまうほど

その塊は

早い。

 

パンでもかじりながら

ハンドルを間違えたトラックは

いとも容易く

歩道を貫く。

 

 

 


ムチュウ

1997年 F50
1997年 F50

真っ暗な室内でテレビに釘付けになる
画面の向こうで起きている事態について様々な角度から考える。

悲しい事件もほんの数分で笑いに変わる
可愛らしい動物が映り
ミサイルについて話し出す。
どこかの偉い人間が世の中について熱弁し
青森は雨らしい。

22歳の男はどんな結論を出せたのだろうか。
夢中になって観ているブラウン管の表面にきれいな花の絵が映る。

灰が床に落ちたその時
手には美しいニコチンの花が咲いていた。

 

 

 

ばった

1998年 F100
1998年 F100

秋葉原ガード下。

ハンダの臭いがした。

意味の解らない記号が並び、

いかがわしい機材が羅列していた。

コンデンサー

トランジスター

発光ダイオード…

 

半畳もない空間を取り仕切る親父は

何でも知っていた。

図書室で借りたトランシーバーの

回路図を片手に材料を揃える。

大人バッタも子供バッタも入り乱れ

お目当ての部品を探す。

 

何度訪れても心が躍った。

 

しばらくぶりに訪れた。

一帯は家電の店に変わっていた。

 

最近訪れた。

 

パソコン用品の店に変わっていた。

 

現在訪れたれば

メイドが沢山見つかるらしい。

 

 

 


1998年 S100
1998年 S100

一人
目の不自由な子供が歩いてた

彼を見た日
街の理不尽な造りを知った
人も
建物も
音声も
親切な刃物に見えた

当然のように過ごしていた
知ってはいたが解っていなかった

思う自分に
僕が笑う

 

 

 

むしかご

1997年 F30
1997年 F30

絵本の表紙に

本を読む熊の絵が書いてあった。 

その熊が持つ本の表紙にも

本を読む熊の絵が書いてあって、

その中の熊が持つ本にまた

本を読む熊の絵が書いてある

表紙の絵本が好きだった。

 

内容は全く覚えていないが

その合わせ鏡のような

永遠に続いてゆく世界に

心が躍った記憶がある。

・・・

 

キュウリをかじるコオロギを

カマキリが狙っている。

息を潜めてじっと待つ。

蛾の幼虫をアマガエルが

睨んでいる。

もう口から舌が少し出ている。

 

心躍る。

じっと目を凝らす。

箱を見つめる。

 

むしかごには

目を凝らす少年が 一人映っている。

 

 

今私は

鏡をみている。

 

 

 


めまい

1998年 F30
1998年 F30

授業料が足りない

働いても働いても足りない

 

 

イメージが湧かない

考えても考えても湧かない

 

悩みが尽きない

割り切っても割り切っても尽きない

日暮れに気づかない

影が動いても影は動いても

気づかない

見ていて飽きない

過ぎても過ぎても飽きない

モヤモヤした輪郭のなかで
見たもの

 

 

          

にらめっこ

2001年 2700×1800mm
2001年 2700×1800mm

 

途方もない

たかが画面だと、ナメてかかれば必ず訪れる時間

途方もない。

 

その場を離れたり

ひっくり返したり

開き直ってみたり

 

長い長い

にらみあい

 

 

にらめっこしましょう

ワラウヤツは

負けよ

 

 

 


団地1

2001年 900×500mm
2001年 900×500mm

 

染み付いた風景。
団地で生まれ団地で育った私には
19歳までその2DKの間取りが全てだった。
同じ造り。
同じ風景。

『ただいま』
と鉄製の扉を開けると知らない人が
『おかえり』
と自然な返事をくれたおかしな夢。

 

100棟ほどある白いコンクリート製住居のなかの

自分のその1棟が解らなくなる夢。

 

よく見た夢たち。

向かいの27号棟には様々な人が住んでいた。
外国人
すぐ怒る老人
若い夫婦…

ここで過ごした時間は、まだ私の半分以上を形成している。

沢山のものと出会いたい。

 

 

 

団地2

2001年 900×500mm
2001年 900×500mm

 

日本語じゃなかった
顔も
性別も
コロコロと変わっていた

 

 

 


団地3

2001年 900×500mm
2001年 900×500mm

 

すぐ怒るんだ

ここの人
少しだけ社会的にも理解できない部分があったけど
たまに笑ってた

 

 

 

団地4

2001年 900×500mm
2001年 900×500mm

 

若い夫婦が住んでた

喧嘩もしていたな
笑い声もしてたな

 

 

 


団地5

2001年 900×500mm
2001年 900×500mm

  

いつもいないんだ
この家

 

 

 


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