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肝臓とパセリ

 

01時30分

「すいません、あの」

「今日は14年ぶりにお酒を飲みました。あまりにもいい匂いで」

「今、一箱いくらなんですか?」

 

食事は一日一食。

お酒好きな私は晩酌が制作後の楽しみで

あれこれ酒の肴を作っては毎日を過ごしています。

コロナが薄く落ち着き、街には活気が戻ってきました。

膠抜き後の乾いた絵皿のようにざらついた自分を潤すためなのか

最近はお酒の席でも見ず知らずの方と勧んでお話をしています。

人見知り とまではいかないけれど

湿っている時はあまり他人との交流をしない私は

そんな姿を俯瞰して初めて自分の乾きに気が付く

そんな表現がしっくり来る今日此頃です。

 

「あのあと全く覚えてなくて」

 

「犬の糞を踏んでいて次の日大変でした」

 

「両親も高齢だからさ」


「打たないけどね」

 

あらためて思うのは、一人として同じ「人」はいないのだなということ。

当たり前過ぎて考えもしなかった事を

贅沢な時間の中で見直すことができたのは、コロナのお陰なのかもしれません。

かなりの人がこの状況に困りながらも感謝していたりして

だから余計に会話が弾んだりもして。

 

沢山の縁は、「作品の質」以外に、心配事を寄せ付けません。

まあ強いて言えば、飲みすぎるぐらいでしょうか。

 

「ああ。おいしい。やっぱりお酒には煙草ですね。久々だなあ」

「絵を描くときも、息止めることあるんですね!」

 

タバコ代ですと

100円玉を律儀に渡す彼は帰り際

「肝臓でお医者さん探すような時は、僕に言ってくださいね」

と帰って行きました。

同じ年のお医者さんでした。

 

とても興味深い

パセリ一周忌の夜でした。