虹を見る前は決まって雨が降る。
虹を見るときは決まって太陽がいる。
稲妻
突風
積乱雲
全て
昼も夜もお構い無しだ。
この日の名古屋は
猛雨か
激雨か
夜にも虹が出るのだと
思い込んでみたら
雨で乾いた心が
みるみる潤ったので
震えながら見た夜中のビル群に
虹が見えた
・・・気がした。
ここには早い夜がある。
僕らとは違うリズムで
水平線へ向かう支度をする。
空と話し、風を聴いてから
エンジンに火を入れ
闇へ消えて行く。
夕暮れ前は
薪を囲んで
語らう真っ黒な男たちが
海を見ながら
呑んでいる。
ここには早い夜がある。
しばらくするとまた
エンジンが音を点て
闇へ消えて行く。
誰もいない湊。
退職した船はじっとしている。
雨の日も晴れの日も
波を越え
氷を砕き
真っ白な世界を目指した彼。
そこで何を見てきたのだろう。
今は何を見ているのだろう。
豪雨の中
びしょびしょの僕らは
黙ったまま
少しニヤニヤしながら
話をする。
花に集まる生き物には羽のはえた
輩もいます
水をはじく毒の粉で
描かれた美しい絵柄ヲ
その羽二
刻んで
あちこちの
蜜ニ
集マリマス
ユラユラと
空気ノ間を
潜リ
漂ウ
姿ヨ
ゆらゆら
ト
どこヘ
往ク
フラフラ
ト
ドコ
ヘ
行
ク
・
・
・