春
桜を見るたびに考えています
遠くから眺めていると
桃色の
その塊は
近づいてよく見ると
淡く
透明にも見えてくる
不思議なあの色について
はらはらと舞う
やさしい風景の傍らにある
これでもかとひしめき合う
途方もない数の
水面に浮いた
あの花びらたちについて
回転し
ねじれながら
ガリガリと空へ広がる幹や枝葉と
地中の根の大きさについて
考えているうちに花は散って
葉が青々と生い茂ります
赤茶色くなったなと思っていると
枝だけになっています
その時々で
色も表情も変える
なんとも不思議な
樹
また春が来ます
みなさんは
蒼ノ食卓をご存知でしょうか
それはそれはすばらしい
旬の食材で
調理された料理が並んだ
理想ノ食卓でありました
春夏秋冬があった時代
たくさんの食材は
人間様が召し上がるため
殺され
形を変えられ
夜景の見える美しい部屋で
きれいなお皿に
まるでおいしそうに
盛りつけられておりました
この度の記憶
蒼ノ食材は
真鯛
鯣烏賊
袋布海苔
若芽
茎若芽
和布蕪
魚祭
となります
召し上がれ
わーおわーおうーおうーお
ういるさいなぁ
私は今
海藻の図鑑に夢中なの
にゃあぴゃあにゃあぴゃあ
うるさいなぁ
私は今
烏賊の塩辛づくりに夢中なの
てぃゆるんてぃゆぅぅきゅるんてぃゆぅぅ
うるさいなぁ
今は
鯛の鱗剥がしに夢中なの
わーおうーお
にゃあぴゃあ
てぃゆるんてぃゆぅぅ
まったくもう
うるさいなぁ
もうこんな時間だぞ
月夜茸の時間だぞ
うるさいなぁ
早く寝なさい
・・
さっきサンマ食べたでしょ
・・・
うるさいなぁ
・・・
わーお
ぴゃあ
きゅるん
明日は満月なのに