染み付いた風景
団地で生まれ団地で育った私には
19歳までその2DKの間取りが全てだった
同じ造り
同じ風景
『ただいま』
と鉄製の扉を開けると知らない人が
『おかえり』
と自然な返事をくれたおかしな夢
100棟ほどある白いコンクリート製住居のなかの自分のその1棟が解らなくなる夢
よく見た夢たち
向かいの27号棟には様々な人が住んでいた
外国人
すぐ怒る老人
若い夫婦…
ここで過ごした時間はまだ私の半分以上を形成している
沢山のものと出会いたい
日本語じゃなかった
顔も
性別も
コロコロと変わっていた
すぐ怒るんだ
ここの人
少しだけ社会的にも理解できない部分があったけど
たまに笑ってた
若い夫婦が住んでた
喧嘩もしていたな
笑い声もしてたな
いつもいないんだ
この家