空港からは今日も
今も
季節を飛び越え飛行機が飛んでいく
アタッシュケースに
トランクに
沢山の想いを詰め込んで
空港へ向かう人々が見えた
座席に座る疲れたサラリーマンは
羨ましそうに
恨めしそうに
紅いスカーフを睨み
車内を行ったり来たりするビールの缶には
関心がない
何百もの
人々は家路に着き
飛行機は飛び立ち
缶は捨てられ続けている
人々を乗せたline
黒い水面を飛ぶ
シュワシュワとこぼれ出す
慌てて口元に運べばコカラコカラとビー玉が遊ぶ
小学校脇に在った和光堂という駄菓子屋が
僕らの少ない小遣いの使い道だった
今まで沢山の事があった
泡の数ほど
花の数ほど
沢山の事があった
そんなことを想わせた風景の向こうには
まだまだ沢山の事が待っているのだろうか
丁寧に踏み潰しながら
向かう
厚い雲に覆われた向こう側には
きっと星空が輝いている
飽きずによく降り続ける雨
世の中全てが湿っぽい
交差点は青と赤を繰り返して
しましまの橋を渡らせる
とおりゃんせのメロディーと
雨が織り交ぜるハーモニー
すぐにまた雨音に戻る
其々の頭の中はばらばらに過去も未来も行き来する
今日の体育最悪だった
タクシーこないなぁ
パチンコでもやっていこうか
夕食は何にしようかしら
現れてはすぐ消える無数の轍
ばらばらに
夢の間
冬の光
確かに
鳴いていた
寒い朝