おはなし二巻 八頁

M10
M10

時雨

 

震災以降

私は

美しさや

綺麗さを

感じられなくなっていた
こんな時代だからこそ必要なはずなのに

感じない
今まで無意識だった当たり前だった事が

解らなくなった

スカイツリーが完成する
東京タワーがその役割を終える
正式名称は日本電波塔
長い間東京のシンボルだった

ある日高速を降りた時

その電波塔に雨が降っている風景が広がった
久しぶりだった
12月のことだった

 

綺麗だと思った
色んな事が変わるんだと気がづいた
本来の言葉の意味とは違うけれど
『時雨』

という絵を

描こうと思った


1450×700
1450×700

スミカ

 

水のなかで広がった紫の雲と
広がった水浅黄の手

 肥大し続けた身体には
 守る役目をわすれた

小さな貝殻の名残

無造作に浜辺で寝転がっているけれど

 昔々からここを住処にしてきたんでしょ?
 
これから仲良くしよう
雨虎
 

君と僕は
 アメヲヨブ 


2150×1700
2150×1700

富の遺産

 

世界遺産が見える丘から

異国のような町が広がる

形も

色も

人も

きれいに整っている様と

昔からあったような錯覚を

見せつけてくる

 

大きなもの

ちいさなもの

きれいなもの

きたないもの

残したくないもの

のこしたいものも

 

すべては

遺産になると

尾根が言う。

 

 


M6
M6

新生

 

あなたの門出

日を追い

老いてく

絵を

描いた

 

この子が

くろぐろ

くたびれるまで

いついつまでも

初心です