おはなし三巻四頁

2150×1700
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村雨

初めて昇った

高い塔から見えたのは

ちぐはぐな霞み方をした

光でした。


西の方から段々と

ぼんやりが広がっても

反対側の

星空のような街は

堂々としていました。


見渡せたことのない

大きな風景には

人と自然が

ただただ

ひしめき合っていて

ひとしきり降っては

止む雨を

ぼーっと眺めておりました。



冗談のようでも

恐ろしく真面目な

鈍く

鋭い光が

街でした。



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化粧ヲスル。

 

レトロな椅子に腰かけて

何やら

慣れた手つき

 

塗って

触って

叩いたり

馴染ませたり

 

適当なのか

的確なのか

 

だんだんと

 

見慣れたような

見慣れないような

顔ができあがる

 

眺めながら

私は

 

いろんなことを

わからないでいる


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春月小唄

 

しとしと雨が止んだなら

ウキウキ準備は万端で

青空見えてきたならば

急いで急いで大きくなっちゃう

綺麗に錆を落としたコイツで

走って登って川を渡って

 

ブルルンブルルン

グツグツグツグツ

リュックパンパン

鍋沸かせ

 

あちらこちらで新芽が育って

一面若葉になる日まで

わたしと真昼のおつきさん

 

ブルルンブルルル

グツグツボコボコ

リュックパツパツ

ナベハコガスナ

 

一面若葉になる日には

わたしも真昼のお月様


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触発

ちょっと触る
少し触れるだけで
感触を確かめる間もなく
走る痛み

囲まれて
絡まっても
かき分けて見つけた

そんなふうに
走り始めたら
切り傷や
かすり傷なんか
気にならないもの

ちょっと痛いだけ
そして
ちょっと楽しいだけ

ほらまた
血が出ちゃったな