おはなし三巻 参頁

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moneyquin


たくさんの欲望に

火をつけるため

私たちは着飾っております。


あなた方が

私たちを見て

私たちと比べて

私たちに憧れて

お似合いの洋服を

お探しになるうち

あれも欲しい

これも欲しいと

なるわけです。


ですから

少し悲しくなることもあるけれど

私たちは

いつも同じ姿勢で

いつも同じ表情で

お店の前に立つのです。


それでいいのです。

それがお仕事です。

たくさんお買い求め下さい。

どんどんお買い求め下さい。


あなた方が

私たちのようになるまで。



私たちが欲しいもの

それは

左手です。



M8
M8

JERK

      陽射しが気持ち良い。

目の前に海が広がる。

鳥も、山も、島も空も見える。

心地よいカウンターでは

大切で綺麗な思い出を

作っている人々の笑顔。

とても穏やかな風景。



毎日、その顔色を変える海。


嵐が迫り

目の前の海が荒れ果て

島も山も何も見えない日。


そんな日も

心地よいカウンターの中で

この店を守ってきた人がいる。



少し日が傾いてきた。

生シラスたちが嬉しそうに

私に食べられた。


ごちそうさまでした。



M6
M6

逢ワセ鏡

海の側にある

遊園地。

水面にも

遊園地。


初々しい二人が

ゆっくりと坂を登り始めた。

景色は徐々に

遠くまで繋がりだす。


手に汗握る側と

にこにこ笑う側が

隣り合わせで座り

山の頂点で止まった。


歯を喰いしばる側と

笑いが止まらない側。


猛スピードで

乱高下を繰り返す。


下り終えると

ほっとする側。

がっかりする側。


また坂にさしかかると

次の準備をする側。

わくわくが始まる側。


登り始めると

また

手に汗握る側と

にこにこ笑う側。


ここは

海の側にある

遊園地。

水面に映るも

 

遊園地。



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烏 ‐

なんの約束も
決まりもなく

カラスと鷺が
寄り集まっては
泣きながら
七つの子のもとへ
帰ります。

太陽の中にはカラス 
月の中にはウサギがいて
それぞれが
毎日
大空から
見守っています。

不自然な
自然を
街と呼ぶように
なったけれど

本当は
そこには
何もないのです。

流れているのは
月日です