私の好きなものの一つに、夜の街並みがあります。
一つ一つの街明かりに人々の存在を感じます。 ここには夜の街を描いた作品が掲載されています。
陽射しが気持ち良い。
目の前に海が広がる。
鳥も、山も、島も空も見える。
心地よいカウンターでは
大切で綺麗な思い出を
作っている人々の笑顔。
とても穏やかな風景。
毎日、その顔色を変える海。
嵐が迫り
目の前の海が荒れ果て
島も山も何も見えない日。
そんな日も
心地よいカウンターの中で
この店を守ってきた人がいる。
少し日が傾いてきた。
生シラスたちが嬉しそうに
私に食べられた。
ごちそうさまでした。
花に集まる生き物には羽のはえた
輩もいます
水をはじく毒の粉で
描かれた美しい絵柄ヲ
その羽二
刻んで
あちこちの
蜜ニ
集マリマス
ユラユラと
空気ノ間を
潜リ
漂ウ
姿ヨ
ゆらゆら
ト
どこヘ
往ク
フラフラ
ト
ドコ
ヘ
行
ク
・
・
・
誰かと出会って
何かを語らって
いつかを思い出して
何かを笑い飛ばして
明日の
何かに変えて
明日も
何かに変えて
明日を
何かに変えて
集まり
集める
カウンターの
あちらと
こちらで
形を変えて
行き来する
あなたへの
プレゼント
ごゆっくり
僕ニハ
欲シイモノガ
何モナイ
貧乏ダケド
貧シクナイ
海ヲ見テ
山ヲ歩イテ
命ノ器ヲ
スキナコトデ
埋メ尽クス
欲シイモノハ
ナニモナイ
コノママデ
イタイ
私ニハ
欲シイモノガ
山ホドアル
豊カニナリタイ
幸セニナリタイ
緑ニ囲マレ
ナニ不自由ナク
長生キヲシタイ
欲シイモノガ
山ホドアル
コノママデ
イタクナイ
タッタ一夜ノ命
塊ニナッテ
浮遊スル
ソレハ
魂ニナル
ヤブヲモ
枯ラス
ソノ
チカラ
カラミツケ
捩レテモ
開イテモ
ヨリ高ク
あなたの門出
日を追い
老いてく
絵を
描いた
この子が
くろぐろ
くたびれるまで
いついつまでも
初心です
しとしと雨が止んだなら
ウキウキ準備は万端で
青空見えてきたならば
急いで急いで大きくなっちゃう
綺麗に錆を落としたコイツで
走って登って川を渡って
ブルルンブルルン
グツグツグツグツ
リュックパンパン
鍋沸かせ
あちらこちらで新芽が育って
一面若葉になる日まで
わたしと真昼のおつきさん
ブルルンブルルル
グツグツボコボコ
リュックパツパツ
ナベハコガスナ
一面若葉になる日には
わたしも真昼のお月様
レトロな椅子に腰かけて
何やら
慣れた手つき
塗って
触って
叩いたり
馴染ませたり
適当なのか
的確なのか
だんだんと
見慣れたような
見慣れないような
顔ができあがる
眺めながら
私は
いろんなことを
わからないでいる
夏
蒼々とした草木は
秋
やがて金色になって
その実や根や幹だけ残します。
冬
海の中は春のようなもの。
色んな生き物が育ちます。
そうしてやがて
海の中から
春
がやって来て
陸は再び
蒼くなります。
私は
夜7時に間に合うよう
料理を作ります。
あくを抜き、皮を剥き
蒸したり焼いたり茹でたりして
食卓を準備します。
どれもこれも
あの蒼い風景から頂いたもの。
食べる分だけ頂いたもの。
明日は
ワカメの酢の物。
イタダキマス。
あんなもの
こんなもの
頁を捲るたび
静かに
ふけてゆく
誰もいない湊。
退職した船はじっとしている。
雨の日も晴れの日も
波を越え
氷を砕き
真っ白な世界を目指した彼。
そこで何を見てきたのだろう。
今は何を見ているのだろう。
豪雨の中
びしょびしょの僕らは
黙ったまま
少しニヤニヤしながら
話をする。
十五夜の夕暮れのころ。
女三の宮は仏前で念誦し、
鈴虫を放たせた庭にのぞむ端近で、
若い尼君たちが花や木を供えて、
閼伽坏の音をたてたりしている。
やがて源氏が訪れ、
宮とともに経を誦し、
親しく語らいながら鈴虫の音に聴き入る…
暮レテユク
タダ暮ラス
タダ暮シテユク
タダ暮シテイルダケ
ソレダケデ
よく見えない。
埠頭に向かう大きな橋から
目を凝らす。
思い出す
変な夜。
晴れた日に再び訪れれば
見慣れた街。
おかしいなと
夢の続きを見に
眠りに行くが、
なかなか
出会えない
そんな風景。
思い出せない
夢のような
雨だった。
いつからか
ゲリラと呼ぶようになった
少し悪意に満ちてそう呼ばれた
雨
私は小さい頃からワクワクする
台風や土砂降りの日は表にでて
川のように変貌したいつもの道路に
笹船やらゴムボールを流して
行き先を見守ったものだ
雨が多くて困り
雨が枯れて困り
先行きが見えず困り
幸せ過ぎて困る
こんなに困り続けているのに
困ることには慣れないのだろうか
波風のない空気を
安心と呼ぶのだろうか
私はこの波風を吸い込まないと
ハミングができない
雨が降ってきた
スキップしながら
進もう
懐かしさって何だろう
似ていることがそのまま直結するわけではなさそうだ
楽しかった事を懐かしむとき
苦しかった事も懐かしんでいる
笑いながら少し悲しくなったりする
懐かしさ
その引き出しが開いた本当のきっかけが
決まってわからない
天気がいいからか
風が気持ち良いからか
少し肌寒いからか
幾万の記憶をピースにして
一瞬で組み上がるジグソーパズル
そんな形をしているような気がした
綺麗な朝日が差し込んでいても
ついうとうと
枕木のリズムを枕にすると
何故にああもよく眠気に襲われるのだろうか
端っこの座席ならばなおさらだ
住宅を飛び越えトンネルを抜け橋を渡り
うとうと眠る間にも自分は高速で運ばれてゆく
綺麗な朝日の中
一日の始まりを森の散歩からはじめる男がいた
橋げたの下を通ったその時
私は通り過ぎるその電車の中で
つい
うとうと
今日も霧雨で霞む風景に目もくれず
つい
うとうとと
うたたねる
海の側にある
遊園地。
水面にも
遊園地。
初々しい二人が
ゆっくりと坂を登り始めた。
景色は徐々に
遠くまで繋がりだす。
手に汗握る側と
にこにこ笑う側が
隣り合わせで座り
山の頂点で止まった。
歯を喰いしばる側と
笑いが止まらない側。
猛スピードで
乱高下を繰り返す。
下り終えると
ほっとする側。
がっかりする側。
また坂にさしかかると
次の準備をする側。
わくわくが始まる側。
登り始めると
また
手に汗握る側と
にこにこ笑う側。
ここは
海の側にある
遊園地。
水面に映るも
遊園地。
この夜景を忘れない。
ここから帰る途中
何度消えた信号機を潜ったか。
テールランプの帯をかい潜り
蛇行する山道を登り降り
映りの悪いワンセグが繰り返す北の大地の名。
怖いのか
楽しいのか
気持ちの居所が解らなかった。
深夜、見慣れた玄関の扉を開けた向こうには、
いつものまま
ねじれて眠る猫がいた。
幸せは
なるものでなく
感じるものだと、
あの夜景を
描こうと思った。
2011年3月10日
この絵が出来た。
この見下ろした賑やかな町並みを辿って
帰らなくちゃ。
どこまでも続く明かりを辿れば、
たとえ道に迷っても
帰り着く自信がある。
こんなにも明るい夜なんだ。
迷うなんて有り得ない。
そう思う。
そう思っていた。
何気なく観ていた景色
何気なく感じていた風景
何気なく受け入れる方法を忘れたようだ。
あの時
筆を置き自分から生まれた作品が、
こんなにも大きくなった。
昔
300Mを越えるこの塔を
人間の手が組み上げた。
今
目の眩むようなこの眺めで
造られた都市の形を知った。
未だ
創造を生業とすることが叶わない自分と
この今の都会を重ねて、
夢と
現が
混ざったものを、
遠く人智を越えた青色い造形物に見た気がした。
明かりが灯り 街になる
西から東へ
北から南へ
道は冷たく続く
僕が眠る頃
愉しげな光は集まった
悲しげな光は行き過ぎた
そうして
こうして
トウキョウは
虹時
はじめは しとしと
そのうち ポツポツ
だんだん パラパラ
いよいよ ざあざあ
夏の雨
秋の雨
トウキョウ
さめざめ
震災以降
私は
美しさや
綺麗さを
感じられなくなっていた。
こんな時代だからこそ必要なはずなのに
感じない。
今まで無意識だった当たり前だった事が
解らなくなった。
スカイツリーが完成する。
東京タワーがその役割を終える。
正式名称は日本電波塔。
長い間東京のシンボルだった。
ある日高速を降りた時、
その電波塔に雨が降っている風景が広がった。
久しぶりだった。
12月のことだった。
綺麗だと思った。
色んな事が変わるんだと気がついた。
本来の言葉の意味とは違うけれど
『時雨』
という絵を、
描こうと思った。
水のなかで広がった紫の雲と
広がった水浅黄色の手
肥大し続けた身体には
守る役目をわすれた
小さな貝殻の名残
無造作に浜辺で寝転がっているけれど
昔々からここを住処にしてきたんでしょ?
これから仲良くしよう
雨虎
君と僕は
アメヲヨブ
世界遺産が見える丘から
異国のような町が広がる。
形も
色も
人も
きれいに整っている様と
昔からあったような錯覚を
見せつけてくる。
大きなもの
ちいさなもの
きれいなもの
きたないもの
残したくないもの
のこしたいものも
すべては
遺産になると
尾根が言う。
日が
暮れて
空が
雲で
覆われて
やがて
雨が
降りだして
土から
遠く
離れた
人たちの
営みが
霞んで
見えなくなりました
虹を見る前は決まって雨が降る。
虹を見るときは決まって太陽がいる。
稲妻
突風
積乱雲
全て
昼も夜もお構い無しだ。
この日の名古屋は
猛雨か
激雨か
夜にも虹が出るのだと
思い込んでみたら
雨で乾いた心が
みるみる潤ったので
震えながら見た夜中のビル群に
虹が見えた
・・・気がした。
ここには早い夜がある。
僕らとは違うリズムで
水平線へ向かう支度をする。
空と話し、風を聴いてから
エンジンに火を入れ
闇へ消えて行く。
夕暮れ前は
薪を囲んで
語らう真っ黒な男たちが
海を見ながら
呑んでいる。
ここには早い夜がある。
しばらくするとまた
エンジンが音を点て
闇へ消えて行く。
ついさっきまで東京を眺めていた山のてっぺんから
生ぬるい風に誘われて
反対側へやってきた。
真っ黒な海から吹いてくる
それは
見覚えのある景色を
見慣れないものに
変えてしまう。
架かる橋が
記憶と重なるまで
暫く時間がかかった。
心地よくなかった。
からだのまわり
そこいらじゅう
まちのすみずみ
あのまちこのまち
うえからしたまで
にげられず
あきらめる
山間に
女たちが集った町には
異国の人々とともに
つくられた
おぼろげな
気配がある
七夕の日
年に一度会えるのだから
幸せ
でも
今年は少し
霞んでいる
おや
催涙雨
そうか
また来年
むかしむかし
あるところに
おにいさんと
おねえさんが
こよなく愛した
呑処がありました。
おにいさんは
山菜のおひたしと
レバ刺しに
砂肝
おねえさんは
川海老の唐揚げと
鳥刺しに
つくね
おねえさんが
川海老を箸で摘まんでいると
ドンブラコ
ドンブラコと
大きな鍋物が運ばれてきました。
「おや、これはまた」
おにいさんと
おねえさんは
美味しそうに
食べました。
とても天気のよい昼下がり
おじいさんと
おばあさんの
目は、
広い広い駐車場を
見つめています。
「ムカシはなぁ……」
「ムカシはねぇ……」
たくさんの欲望に
火をつけるため
私たちは着飾っております。
あなた方が
私たちを見て
私たちと比べて
私たちに憧れて
お似合いの洋服を
お探しになるうち
あれも欲しい
これも欲しいと
なるわけです。
ですから
少し悲しくなることもあるけれど
私たちは
いつも同じ姿勢で
いつも同じ表情で
お店の前に立つのです。
それでいいのです。
それがお仕事です。
たくさんお買い求め下さい。
どんどんお買い求め下さい。
あなた方が
私たちのようになるまで。
私たちが欲しいもの
それは
左手です。
初めて昇った
高い塔から見えたのは
ちぐはぐな霞み方をした
光でした。
西の方から段々と
ぼんやりが広がっても
反対側の
星空のような街は
堂々としていました。
見渡せたことのない
大きな風景には
人と自然が
ただただ
ひしめき合っていて
ひとしきり降っては
止む雨を
ぼーっと眺めておりました。
冗談のようでも
恐ろしく真面目な
鈍く
鋭い光が
街でした。